プリント基板設計用
CADの可能性を追求し、
チームとして
高みを目指す

プリント基板
設計用CADの
可能性を追求し、
チームとして
高みを目指す

開発職

副松 直樹

2011年入社/理工学研究科情報理工学専攻修了。図研のCADシステムに技術的な魅力を感じ、入社後も一貫してプリント基板設計用CADシステムの開発に携わる。入社8年目には配置配線グループのリーダーとなり、図研の主力製品である『CR-8000 Design Force』の開発をけん引する。

  • 登場する社員は仮名表記です。

入社以来、プリント基板設計用CADシステムの開発に携わってきた副松直樹。開発者として経験を積んできた副松がリーダーとなったのは、「1人ではできないこと」を実現するためだった。若手時代に経験した挫折から、副松が学び取ったものとは。

先輩から受け継がれたソースコードが、
次の世代を成長させる

学生時代に情報システムを専攻していた副松は、「将来はソフトウェア開発の仕事をしたい」と考えていた。やるからには、開発にのめり込み、やりがいを感じられる仕事がいい。就職活動で知った図研のプリント基板設計用CADシステムは、まさに副松の希望を満たす製品だった。

図研のCADは、3Dグラフィック上でのレイアウト設計や、回路の配線を自動化する機能、SI(信号品質)などのシミュレーション解析といった、多彩な機能を備えています。興味深い技術がいくつも詰め込まれたソフトウェアで、これほどの物を作れるのは図研しかないと思い、入社を決意しました

入社時の希望通り、副松はプリント基板設計用CADシステム『CR-8000 Design Force』を開発する部署に配属された。所属は配置配線グループ。部品の配置や回路の配線を司る機能であり、製品の要ともいえる部分である。

入社2年目になり、副松は新規機能開発の主担当を任された。高速信号の伝達に用いる「差動配線」と呼ばれる機能だが、その実装には電気的な要件や制約を十分理解する必要があった。

配線の間隔や線幅、インピーダンス(電気の通りにくさ)など、調査すべき項目は多岐に及びました。先輩や他部署のSEから情報を集めて臨んだのですが、完成したと思っても考慮が漏れていたりなどして、何度も挫折しそうになりました

上司や先輩からは「分からないことがあったら何でも聞いて」と言われていたが、自分は何が分かっていないのかも分からない。当初3~4ヶ月の予定だったスケジュールは、半年にまで延びた。

「暗闇を進むような感覚でした」という副松にとって、「既存の機能を見て、なぜそのように作られたのかを考えること」と述べた先輩のアドバイスが、一筋の光となった。

今ある機能は全てお客様の要望を反映して実装してきたものだ、と。品質を守り、さらに発展させていくうえで、まずは過去の積み重ねを踏襲することが大切だと教わりました

長い歴史を積み重ねたパッケージソフトウェアには、先人のノウハウが詰め込まれている。受け継がれたソースコードには多くの学びがあり、次世代を導く道しるべとなる。先輩たちのサポートを受けながら、副松は粘り強く開発に取り組んだ。

わからないことは自分で調査するだけでなく、先輩やSEに質問して、とにかく製品の理解を深めました。開発が完遂したときは、大きな試練を乗り越えた実感がありましたね。入社10年を過ぎた今でも、差動配線機能はお客様からしばしば好評の声をいただいています。開発者として、誇りとやりがいを感じた出来事です

「自分が良いと思う機能」と
「顧客が求める機能」の狭間で

しかしその後、副松は再び壁にぶつかっていた。良かれと思って提案した機能に、なかなかOKが出ないのだ。仕様書レビューでは、先輩から厳しい指摘を受けることが続いた。

先輩からは『ユーザーはこんな作業をしない』とよく言われました。Design Forceのユーザーは基板設計者です。基板設計者が何を考え、どのような作業手順を踏むのか、当時の自分には理解が足りなかったのです

そこで副松は、顧客に触れる機会を多く設けるようにした。SEの顧客訪問に同行したり、問い合わせ対応を重ねたりするうちに、徐々にユーザーの要望の背景が見えてきた。特に驚いたのは、熟練ユーザーが製品を操作するスピードだった。

想像を遥かに超えていました。まさに目にも留まらぬ速さでマウスとキーボードを操り、設計作業を進めていたのです。衝撃を受けたと同時に、『なるほど』と目からウロコが落ちたような気がしました

だったら画面配置はこのほうが使いやすいはず、と、想像が及ぶようになったのです。入社5年目を過ぎたころ、ようやく自分が思う『良い機能』と、お客様が求める『良い機能』が一致するようになりました

入社8年目、副松は配置配線グループのリーダーとなる。リーダーになるとマネジメントの仕事が増えるため、自らソースコードを書く機会が減ってしまうが、上長からリーダーの打診を受けたときは「期待に応えたい」という思いが上回った。

手を動かすことは好きなので、この先も開発は続けたいと思っています。でも、1人ではできない大きな仕事ができるのが、チームの良さ。リーダーとしてチームを束ねることを期待されるのなら、素直に『やってみよう』と思えたのです

やがて、リーダーになった副松に、ある大規模プロジェクトの話が飛び込んできた。

とある大手企業において、競合他社のCAD製品から図研の製品に乗り換える話が浮上したのだ。採用されれば、多くのライセンスが購入されるだけでなく、関連会社や取引先への波及効果も期待できた。

ただし、乗り換えには条件がありました。競合他社のCAD製品に実装されている機能を、当社の製品にも実装することが求められたのです。かなり多くの機能を開発しなければなりませんでした

副松がリーダーを務める配置配線グループも、新たな機能開発に取りかかることとなった。それは副松が入社2年目に挫折しそうなほどの苦労を経験した、「差動配線」に関する機能だった。

チームで協力すれば、1人ではたどり着けない場所に行ける

新たに追加する機能は、差動配線における、線幅や配線間隔の制御に関するものだった。配線だけでなく、その後の解析部分にも手を加えなければならない。配置配線グループだけでなく、解析を担当するグループや、システムの基礎部分を担うグループとも連携が必要な開発内容だった。

配置配線・解析・基礎の3チーム合同での開発がスタートし、私がその取りまとめも務めました。開発では、まず私が全体の設計を考え、他チームと認識をすり合わせたうえで、それぞれ担当を割り振りました。配置配線以外の知識も必要でしたので、ここが最初の山場でしたね

今回の開発は特命プロジェクトとして突発的に持ち上がったため、スケジュールにも影響があった。既に予定されていた開発の合間を縫って、今回の機能追加を進めなければならない。

副松は各チームとの交渉にあたり、スケジュール調整や人員調整に汗を流した。それは、以前の副松では考えられないことだった。

リーダーになる前は、他チームの人に声をかけることにも苦手意識があり、交渉ごとなどとてもできるタイプではありませんでした。複数チームをまたぐリーダーを経験したことで、その後の仕事のやり方にも変化が生まれたと感じています

プロジェクトは功を奏し、新規顧客の図研製品への乗り換えも実現した。副松は「リーダーとして会社に貢献できたことが、さらなる自信につながった」と話す。その貢献度は、売上やライセンス数といった数字にも現れ、開発とはまた違う喜びを味わうことができた。

現在、副松のチームには、新入社員から入社20年以上のベテランまで幅広いメンバーが揃っている。リーダーとして、メンバーの育成もこれからの課題だ。

若手にはなるべくチャレンジをさせてあげたいのですが、一方で納期や品質も守らなければならず、そのバランスには気を使います。自分も苦労した経験があるので、解決の道筋を立てた上で任せる、失敗してもリカバリできるよう周りがサポートするなどして、成長機会を与えられるようマネジメントができればと考えています

マネジメントにも携わるようになった副松だが、開発の面白さを忘れたわけではない。新しい技術への興味は尽きず、トレンドのキャッチアップも続けている。経験に裏打ちされた設計思想や構想を通じて、自分にしかできない仕事があるはずだと考えている。

開発したい機能がたくさんあって、今はいくら時間があっても足りないくらいです。でも、メンバー一人ひとりが成長してくれたときには、きっと一緒に実現できると思います

エンジニアとして新たなステージに立った副松。今後は副松と彼のチームが書いた仕様書やソースコードが、次の世代の道しるべとなっていくのだろう。

Questions & Answers

入社前後で図研に対する印象は変わった?
大きくは変わっていません。希望の部署に配属されたこともあり、入社前にイメージしていたような製品開発に携われています。
図研の好きなところは?
風通しの良い人間関係です。歳の離れた先輩や上司にも気軽に相談できるところが気に入っています。
職場にはどんな同僚・先輩・上司が多い?
ものをつくるのが好きな人が多いです。ときには意見がぶつかり合うこともありますが、ユーザーに良い製品を届けたいという気持ちはみんな共通していることを感じます。
学生時代の経験が役に立っていることは?
学生時代に勉強したソフトウェアに関する知識は、基礎として役に立っています。また、海外とのやり取りもありますので、英語の読み書きのスキルも役に立っています。
休日はどのように過ごしてる?
基本的に家にいることが多いです。凝った料理に挑戦してみたり、動画配信サービスで海外ドラマを観賞したりして過ごしています。